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北米最大規模のライブ照明や舞台・特殊効果機材の見本市であるLDIの本年度開催が中止に。

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毎年ラスベガスで開催されているLDIが中止に!

ライブ・コンサート照明や映像、舞台、特殊効果機材などの見本市として、北米最大規模を誇る通称LDI(正式名称、Live Design International)の本年度開催がキャンセルになったとの情報が届きました。このご時世、予想はしていましたが、ここ何年か、ほぼ毎年参加していただけに残念です。

LDIは北米最大規模の舞台照明を中心とした見本市、そしてカンファレンス

LDIは、毎年10月下旬(隔年で11月開催になります)に、ラスベガスのコンベンション・センターで開催されるライブや劇場照明、舞台映像等の機材に特化した見本市+カンファレンスで、全米のみならず、全世界から劇場照明、舞台機構、映像・特殊効果等の機材の販売会社や顧客、関係者ら14,000人が参加する業界恒例の大イベントです。モーターショーのようなものを想像していただけると分かりやすいかと思いますが、モーターショーと違ってエンドユーザーが一般消費者ではないので、来場者もほぼほぼ、この業界の人、ということになります。日本からも、コンサート照明などに従事する照明会社や販売代理店などが軒並み、毎年、LDIのためにラスベガスにやって来ます。

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舞台照明や音響を学ぶ日本からの専門学校生も見かけるように

また、照明や音響を学ぶ専門学校生の団体も、ここ数年、会場でよく見かけるようになりました。学生たちがLDIにやって来て、様々な先端機材に触れるのは非常に良いことだと思うのですが、ちょっと残念に思うのは彼らは会場にやって来て、自分たちだけで会場を見て周っていることです。人数も多く、また言葉の問題からか、彼らが照明機材会社のセールスマンや技術者に質問したり、あるいは各メーカーが主催するワークショップやレククチャ−に参加しているのを見たことがありません。専門学校生なので、先生から事前に説明を受けているのかもしれませんが、ちょっともったいない気がします。結構な人数で来ているようなので、それこそ、彼らのために、通訳も準備して、照明卓や舞台機構、映像機材、そして舞台演出の最先端を紹介するワークショップやレクチャーを実施すると良いんじゃないかなと思いました。

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ムービングライトの老舗・Vari-LiteのLDI2019でのデモンストレーションの様子。こんなデモがあちこちで1日中開催されています。

ラスベガスでのショーやクラブ巡りも仕事の一環!

私は、照明・劇場機材の販売会社を営む友人のお伴で参加していますが、日本からいらっしゃる同業者の知人らの通訳や案内などをしながら、同時にショーやイベント、そしてカジノやクラブ巡りを楽しんでいました。実はクラブ巡りも仕事の一環です!なんと言っても、ラスベガスの最先端のクラブはハイテク機材と舞台機構、そして演出にお金と工夫を凝らしていますので、シルク・ド・ソレイユ等のショーなどど同様に視察価値があります。実は、LDI参加者には美味しい特権もあります。それは、ラスベガスの人気クラブは、いつも長蛇の列で入場までめちゃくちゃ時間がかかるのですが、LDI参加者はVIP入場(といってもすぐに入れてくれるだけですが)が許されています。人気クラブもLDI参加企業の顧客だったりしますので、それゆえの優遇措置ですね。

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米国の劇場照明機材の市場規模は約5800億円

全世界における劇場照明機材の市場規模は、2019年で約5,800億円と言われており、2024年には7,700億円にまで成長すると言われています。ただし、コロナの影響は甚大で予想通りに成長するかは不明です。そして、この5800億円のうち、約45%程度をアメリカ市場が占めています。ついで大きいのがヨーロッパで30%程度、そしてアジア地域が20%程度となっています。ちなみに、アメリカのライブエンタテインメント業界の市場規模は、尺度にもよりますが日本の3〜4倍程度と言われています。しかし、実際に働いている現場の感覚ではもっとその差は大きいように感じます。ミュージカルで考えてみると、ブロードウェイでは50本程度のミュージカルが週8公演程度、ほぼ1年中上演されていますが、東京では1年中開催されているミュージカルは数本ではないでしょうか。そして、こと劇場関連の機材となりますと、さらにその差は大きいように思います。

ムービングライトは演出ごとに機能が細分化され、益々スゴイことに!

LDIの近年の特徴としては、照明機材の防水機能が拡充された商品の展示が増えていること、バッテリー式のLED設置型照明機材が増えたこと、ムービングが演出ごとで細分化がさらに進んでいること、それと、これは以前からですが、中国からのベンダーが増えていて、機材の質も向上していることですかねえ。まあ、アメリカやヨーロッパの先端会社の機材も、企画や設計は本国でも、中国で生産組み立てして世界に送ることが多いので、技術移転は進みますよね。あとLEDパネルは、もうほぼほぼ中国製ですね。

 

 

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今年のLDIは残念ながら中止となりましたが、2021年は11月19日から21日の開催を予定しているそうなので、それまでにラスベガスに気兼ねなく行ける世界になっていることを願っています!

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アメリカのレンタル照明機材大手の4Wallが、ラスベガス本社の機材倉庫で別途開催しているパーティーに参加した際に出会ったショーガール(?)たち。

 

 

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こちらはChaubet社のLDI2018の様子。

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写真:©わんころけっと