わんころけっとのアメリカに暮らしてみたものの

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学校再開を2週間延期したNY市では、10月から毎月10−20%の教職員・児童のコロナ検査を任意で実施の予定。

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学校再開を9月21日まで延期したNY市

ニューヨーク市では、レイバーデイ(アメリカ版勤労感謝の日、今年は9月7日月曜)の祝日明けの9月10日(木)から公立学校の再開を予定していましたが、教職員組合の要望により9月21日(月)まで延期することを決定しました。たった10日でなにが変わるのか、という気もしますが、教職員組合では学校再開の準備と、コロナ対策について教育委員会との合意が間に合わないということで、今回の延期となったようです。また同時に、ニューヨーク市では学校再開後、毎月10%−20%の教職員と児童から任意でコロナの検査を実施するとしています。ニューヨークの教職員組合では、学校再開にあたり全員の検査を求めていたようですが、10−20%を任意で毎月、ということで合意したようです。予断ですが、日本で日教組、あるいは教職員のグループが、教育委員会に対し「ストも辞さない」との強行姿勢で、コロナに限らず学校の運営について要望の実現を求めることは、あまり考えられないですよね。組合には功罪あるかと思いますが、今回はちょっと頑張って欲しいと思っています。

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東京で換算すると1300人から2300人の新規感染者がいることに

コロナの感染者数の増加がやや鈍化してきた米国ですが、中西部の州を中心にいまだコロナの感染率は高く、新規感染者がカリフォルニア州では日に4000人、テキサス州でも5000人程度、米国全体では約4万人の新規感染者が毎日確認されていますカリフォルニア州の人口は3951万人、テキサス州は2900万人で、東京都の人口は1300万人ですから、東京都に置き換えて考えれば、1300人から2300人程度の新規感染者が確認されていることになります。国全体で言えば、毎日約1万人強の新規感染者が確認されている勘定になります。

約6ヶ月の都市封鎖でNY市が得たもの

そんな中、ニューヨーク州では3月下旬から6月下旬まで都市封鎖を実施し、6月下旬になって建設業などから徐々に経済を再開、7月下旬からレストランでのテイクアウトなどが可能となり、8月からは野外テラス席での食事が可能となりました。また美術館も8月末から人数制限付き(キャパの25%)ながら再開しました。未だレストランでの店内飲食や劇場やコンサートなどの大人数が集まるイベントは禁止されていますが、9月中旬には学校もリモートと対面の半々ながら再開できるところまで来ました。3月下旬から、ほぼ半年間、街を閉鎖したことになりますが、そのお陰でコロナ感染を抑えることができました

感染が爆発していた4月は連日1万人近い新規感染者が確認され、4月15日には1万1755人の新規感染者が記録されましたが、現在では1日あたりの新規感染者数は700人程度まで減少しました。ニューヨーク市では現在もブロードウェイ・ミュージカルなどの大規模なイベントは年内の閉鎖が確定しており、慎重に経済再開を進めています。また現在も、海外からの入国、あるいは感染率の高い他州からNY州に入る場合には2週間の自己隔離期間が求められます。これは例えば東京から山梨に、あるいは大阪から和歌山に入る場合には2週間の自己隔離を求められるのと同じですから、なかなかに思い切った方策ですが、それだけ「都市を半年間封鎖して、やっと、ここまで感染を抑えたのだから、もうあの状況に戻りたくない」との切実な思いの表れとも言えます。ニューヨーク市に暮らす我々としてはありがたい条例と言えますが。

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東京とニューヨーク、感染状況を比べてみると

現在、ニューヨーク州の陽性率は1.01%で、1日あたりの新規感染者は約700人で推移しています。つまりNY州でPCR検査を受けた人の人数は1日あたり約70,000人程度ということになります。ニューヨーク州の人口は1945万人ですので、東京都で換算すると一日の新規感染者数は約466名となります。ただ東京都の10倍近い人数がPCR検査を受けていることを考えると、また東京都の陽性率が3%台後半であることを考えると、東京都とニューヨーク州のはたしてどちらが、実際にコロナが蔓延しているのか、現状は同程度なのかもしれませんね。またニューヨーク市に限ると新規感染者数は1日あたり300人程度ですが、ニューヨーク市の人口は820万人、東京23区が968万人、大阪府の人口が882万人で、ニューヨークの検査数は東京や大阪の10倍程度と考えると、やはり同程度、あるいはニューヨーク市のほうがまだ少し高い程度と考えるのが妥当かもしれないですね。

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ニューヨークの学校は対面とリモートのハイブリッド方式

さて、うちの子の小学校では、9月16日から21日にリモート授業を再開し、対面授業再開への指導をリモートで行うとのことです。ニューヨーク市教育庁では、学校再開にあたり、児童を2つのグループに別け、対面授業とリモート授業を半々で実施するハイブリッド方式か、全日リモートで授業を受ける完全リモートかの、どちらかを選べるように設定しています。うちの子の学校では、火水組と木金組に別け、それぞれ対面授業とリモートを組み合わせで実施する予定です。月曜は、たぶん全員リモートになるのでしょう。もちろん、完全リモート授業も選択可能です。現状、3分の2がハイブリッド方式を選択、3分の1が完全リモートを選択していますので、火水組と木金組と完全リモート組がそれぞれ3分の1づつになっています。1クラス25名程度ですので、1グループあたり8名となりそうです。本来25名が入れる教室に8名ですから、ソーシャル・ディスタンスもなんとか確保できるのかもしれないですね。

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子供と大学生の感染拡大が今後の懸念材料

ただ、米国では、夏休み中に子供の感染が大人の数倍規模で拡大しました。CDCでは感染率が5%以上の地域では対面での授業を再開しないように呼びかけていますが、カリフォルニア州のように完全リモートとする州がある一方で、対面での再開を継続する州や地域もあり混乱が続いています。私見ながら、民主党支持者の多い州でコロナ対策に慎重なケースが多く、共和党支持者の多い州で経済と学校の再開を推進する州が多いように思います。マスク着用同様、大統領選が絡んでいて、本来の教育問題が政治問題化しているのが非常に心配です。

また多くの大学では授業開始早々、クラスターが発生しています。若い彼らはコロナに感染しても重症化しないと考えており、自主規制と言われても欲求を抑えきれないのでしょう。ニューヨーク州の一部地域でも大学でのクラスターが発生しており、クオモ知事はSWAT部隊を派遣すると発表しています。学生がパーティーなどを実施した場合に解散させたりするためですかね?まあ、それぐらいしないと酒に酔ったアメリカ人学生を抑えることはできなさそうですが・・・。

といった状況もあり、小中高校も果たして9月21日に再開できるのか、まだまだ予断を許さない状況です。親としては、やはり子供は学校に行かせてやりたいとの思いは強いのですが、感染も非常に心配なので、あまり学校再開を急いでほしくない、というのが本当のところですね。

 

以下が今回のNY市の決定についての報道です。ご参考まで。

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また子供が感染を拡大させる可能性を伝える報道。ご参考まで。

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以下、これまでに書いたニューヨーク市の学校関連のブログです。もしよろしければ合わせて読んで見て下さい。特に「 LAは8月18日から完全リモート、NYは9月から通学とリモートのハイブリッドで学校再開」のブログでは、トランプ政権の教育長官とCNNのインタビュー解説を掲載しています。トランプ政権のいい加減ぶりがもはや滑稽に見えるかもしれませんし、間違った指導者を選ぶと国民はどんな目に合うかが分かるかもしれませんね。

 

koryunosusume.com

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