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長期化するコロナ後遺症が深刻な問題に。長期患者に対応する専門拠点がNYで開設される

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長期化するコロナ後遺症が深刻な問題に。

日本でも、コロナ後遺症と見られる症状に苦しむ人が増加しているとの報告をよく見かけるようになりました。またツイッターでも、そういう苦しい状況を訴える人たちのツイートを目にする機会が増えてきたように感じています。コロナ感染後、長期に渡って、呼吸器疾患、倦怠感、認知障害、胃腸の不良、咳、動悸の高まり、頭痛、関節や筋肉の痛みなどの症状に悩まされる人が多くいるそうです。こうした症状が発生する仕組みについては因果関係が明確でなかったり、こうした症状はコロナ感染を経験したことによる精神的なものと片付けられる場合があったり、PCR検査や抗体検査を受けられずコロナに感染した事実を証明できない、あるいは検査を受けても検査自体の不確実性から感染の有無が判明せず、コロナ疾患としての治療が受けられない、などの問題があるようです。軽症者の場合、診察を受けることができず、自宅待機を言い渡されるケースもあると聞きます。しかしコロナ感染者数の増加にともない深刻な後遺症や長期に渡る症状を訴える患者が世界的にも増えており、日本でも原因究明と対応の動きが出てきているようです。

コロナウィルスはリンパで撃退されることも多く、その場合、抗体は作られないことも

先日、検診でお世話になった医師から「コロナの抗体検査もしますか?」と聞かれたので、「できるなら是非!」とお願いしたのですが、医師からは「コロナは仮に感染していたとしても、リンパでウィルスを撃退してしまうこともあります。その場合、コロナの症状が出ず、本人も気づかないことも多々あります。また、その後、抗体検査を行っても抗体は発見されず、感染の事実が判明しないこともあります。先日も、症状からコロナに感染していたのではないかと考えられる患者さんの抗体検査をしましたが、抗体は発見されませんでした。なので(著者も)恐らく抗体検査をしても抗体はない可能性が高いでしょう。」とのことでした。しかしせっかくの機会ですのでお願いしました。結果は翌日には判明しましたが、やはり抗体はありませんでした。ただニューヨークでは、抗体検査もPCR検査も、日本に比べるとかなり容易に受けることが可能です。抗体検査も無料でできましたし、PCR検査も無料です。

不安定な検査に翻弄される長期コロナ患者たち

ウォール・ストリート・ジャーナル紙によると、「ニューヨーク市内のマウントサイナイ病院ではコロナ長期患者を扱う拠点『センター・フォー・ポスト・コビット・ケア』を開設、コロナ感染が原因と思われる不調を訴える患者への対応にあたる」としています。同センターでは、「検査は必ずしも予想通りの結果を示すとは限らず、そのため治療を拒否されている人たちがいる」「長期患者が「数万人」いるとみている。」「検査で陽性反応が出ないために、それら患者の治療の多くが閉ざされており、非常に困っている」と話しています。また米疾病対策センター(CDC)の調査結果によると、「コロナ検査で陽性判定を受けたが入院しなかった成人270人のうちの約3分の1が、2~3週間後も通常の健康状態に戻らなかったと答えた。また、慢性疾患のない18~34歳の人の5分の1が通常の健康状態に戻っていなかった。」と発表しています。同記事では、シカゴのノースウエスタン・メディシンで神経感染症とグローバル神経学担当の責任者を務めるイゴール・コラルニク氏の「重要なのはこうした患者を深刻に受け止めることだ」「そうした人たちを神経学者が徹底的に調べ、どのように管理・治療するのが最適かを見極める必要がある」との言葉で記事を締めくくっています。*1

コロナは誰しもが罹患する恐れのある疾患ですから、日本においても、そうした深刻な後遺症や長期の症状の原因が究明され、治療方法が進むことを祈るばかりですが、それ以上に、そういった深刻な症状に悩む患者に寄り添い、真摯で手厚い対応が実施される体制や制度が、早急に整備されることを祈っています。

 

 

*1:引用元:

jp.wsj.com