ニューヨーク最大規模の舞台芸術団体であるリンカーン・センターでは、米国障害者法(ADA) *1が7月26日に成立30周年を迎えるのを記念し、ADA in Artsと銘打った事業を展開しています。*2
ADAは障害者が市民生活に完全に参加する権利を確立する最も重要な公民権法と言われています。リンカーン・センターによるプログラム説明によると、「(ADA in Artsでは)障害を持つアーティストの作品に焦点を当て、ADAが芸術をどのように形作ったかを振り返ります。 ストリーミング・パフォーマンスとインタラクティブ(双方向)なバーチャル・ワークショップとツアーを通じて、ADA成立30周年というマイルストーンを祝い、より多様性を持った未来の必要性を掲げて行きます。」とのことで、障害を持つ人々に向けたプログラムとともに、障害を持つ人々によるアート・プログラムを提供しています。
第1回目は障害を持つダンサー/振付家の作品世界にせまる短編ドキュメンタリー
ADA in Artsの第1回目はすでに配信が開始されていますが、障害を持つダンサー兼振付家であるアリス・シェパード(Alice Sheppard)の独自の世界や、振り付けや障害者アートへのアプローチを模索する様、彼女のダンス作品「Good Souls Fear」の創作過程を、VR映像なども織り交ぜながら、垣間見ることができるドキュメンタリーの短編です。
Kinetic Light: Beyond the Stage (OC & ASL)
第2回は、アメリカン・バレエ・シアターによるバーチャル・ダンス・ワークショップ
第2回は、Passport to the Artsと銘打ち、障害を持つ子供や大人、その家族に向けたバーチャル・バレエ・ワークショップを開催します。アメリカの名門バレエ・カンパニーであるアメリカン・バレエ・シアター(ABT)のダンサーやデザイナーが、ABTの代表作である「白鳥の湖」の登場人物や振り付けを探求します。
視覚障害者にタップダンスの魅力を語る意欲的なプログラムなど
さらに視覚障害を持つ人に向け、語りかけでタップダンスの魅力を伝える「Virtural Verbal Description Program: A Celebrating of Tap Dance」を開催するなど、非常に意欲的で興味深いプログラムとなっています。日本でも、厚生労働省による障害者芸術文化活動普及事業*3など、日本でも障害者に向けた、あるいは障害者によるアートプログラムへの支援の必要性が認識され推進されています。ご興味のある方は、是非、リンカーン・センターの特設ウェブサイトを訪問してみてはいかがでしょうか。