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Fitbit社が目指すウェアラブル端末によるコロナ感染症の早期発見について

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ウェアラブル端末でコロナ感染を感知できる未来は来るか?

以前、ウェアラブル端末でコロナ感染を感知できる未来は来るか?」と題してウェアラブル端末の現状について書きましたが、端末によって収集されるバイタルサイン・データの解析による、疾患の早期発見に関する研究は更に進んでいるようです。

koryunosusume.com

 フォーブス日本語版が8月22日にウェアラブル端末最大手のFitbit社についての記事を掲載しました。それによると「Fitbit社がウェアラブル端末を活用した、新型コロナウイルス感染症の早期発見に関するレポートを発表した。同社は感染を早期に発見するためのアルゴリズムを見つけ出そうとしている。Fitbit社がこれまで成し遂げた最も重要な成果と言えるのは、症状が現れる前日に新型コロナウイルス感染症の半数を70%の精度で検知できるというものだ。」

また「(同社のリサーチ部門のConor Heneghan氏によると)”新型コロナウイルスの患者たちが最も多く報告しているのが疲労感だという。一方で、発熱を訴えた患者の割合は55%に留まっており、感染を検知するためには検温だけでは不十分かもしれないことが示されている。Fitbitは感染の早期発見のために、呼吸数や心拍の変動、安静時の心拍数を指標として用いている。免疫システムがウイルスに反応した場合、HRV(心拍変動)が減少し、呼吸数や心拍数は増加する。」とし「これらの指標の変化は、患者らが症状を訴える1週間近く前から出現する(とHeneghanは述べている。)」と報道しています。 

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症状が始まる前に新型コロナ感染を検出するアルゴリズムを構築する

Fitbit社の公式ブログ*1によると、今年5月に「症状が始まる前に新型コロナ感染を検出するアルゴリズムを構築する」ことを目的とした研究を開始すると発表、2ヶ月あまりの間に、アメリカとカナダで10万人を超えるFitbitユーザーが登録し、1,000人を超える陽性例の報告があったそうです。この10万人からのデータを専門家チームで解析、初期段階のリサーチながら研究結果を発表すべく準備を進めています。(このデータ収集のためのコミュニティへはFitbit製品使用者であれば参加可能なようです。ご興味のある方は上記に添付したFitbit社の公式ブログ・サイトを参照してください。)ただ、現状では、「感染の可能性を示す特徴」と「コロナ以外の理由による特徴」の差を見極めるにはさらなる研究が必要としています。

しかし、Fitbit社では、コロナは症状が現れる前、あるいは症状が全くない時にウィルスを他人に感染させる可能性があるため、早期に感染に気づき治療にあたったり、他者との接触を回避することで、コロナの感染拡大を防止することができるとし、同社のリサーチは非常に重要であるとしています。

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呼吸数、安静時心拍数、心拍変動性は病気の発症を示すのに役立つ指標

またFitbit社では、呼吸数、安静時心拍数、心拍変動性Heart Rare Variability)はすべて、病気の発症を示すのに役立つ指標であり、身体が休んでいる夜に追跡するのが最適であるとしています。HRVは、病気の症状を示している人でしばしば低下し、安静時の心拍数と呼吸数はしばしば上昇するとし、リサーチ参加者らが症状を報告する約1週間前に、これら指標が変化し始めることもあったそうです。

Fitbit社のウェアラブル端末はエクササイズやワークアウト、ダイエットなどの成果や、身体の状態を継続的に記録することで、より効率的な活動と健康状態を把握するためのディバイスですが、中でも睡眠の質を計測する機能が有名でした。ですので呼吸数や安静時心拍数、心拍変動性などに着目し、日々の体調の変化をトラッキングすることで、疾患の早期発見のためのアルゴリズムを見つけ出そうとする同社の試みは理にかなったものと言えます。

Fitbit社公式ウェブサイト:

www.fitbit.com

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検温スクリーニングだけでは感知は不十分

またFitbitの研究発表によると、コロナ感染症者が入院する必要があると予測される可能性が最も高い症状は「息切れ」と「嘔吐」であるのに対し、「喉の痛み」と「腹痛」が入院の必要性を予測する可能性が最も低い症状だそう。

さらに、コロナ感染症患者が報告する最も一般的な症状は「疲労」だそうで、陽性と報告があった参加者の72%が「疲労感」を訴え、次いで「頭痛(65%)」「体の痛み(63%)」「味覚と嗅覚の低下(60%)」「咳(59%)」となったそうで、フォーブス誌の記事にもあったように、コロナ感染症を報告している参加者のわずか55%が発熱を訴えており、検温スクリーニングだけでは感知は不十分としています。

感染症軽度のケース(自宅で一人で療養・回復した人)の治療期間の中央値は8日ですが、中程度のケース(他の人の助けを借りて自宅で回復した人)の治療期間の中央値は15日、重症例(最終的に入院を必要とする患者)の場合、治療期間の中央値は約24日だそうですが、この期間は大きく広がり、2か月以上続くケースもいくつかあったそうです。

Fitbit社では、コロナ感染の顕著な症状が現れる前に、(HRVや心拍数の変化など)身体は病気の影響を示し始めることは明らかであり、これら(HRVや心拍数の変化などによる)の初期信号を手がかりとして、衛生当局とも協力しながら、コロナ感染などの疾患を検出するアルゴリズムの開発に引き続き取り組むとしています。

Fitbit社のレポートでは、特に睡眠中の身体に起こる変化のアルゴリズムを監視することで、コロナや他の疾患の予兆を掴める可能性があるとしていることに多いに興味がありますし、さらなる研究と実用化に期待しています。

 

注1)新型コロナウィルス感染症については、必ず厚生労働省や政府・公的機関の公式な情報をご確認ください。 

注2)Fitbit社では、上述した情報を含む報告や情報は、教育・研究を目的としており、医学的な診断または治療を意図しておらず、提供された情報をもとに、健康上の問題や状態を診断、または治療しないように警告しています。また食事を変える、睡眠習慣を変える、サプリメントを服用する、あるいは新しいフィットネスルーチンを開始する前に、必ず医師に確認してください、と注意喚起しています。

引用記事:

forbesjapan.com