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コロナ感染拡大防止に遠紫外線C波が期待大!劇場への導入はいつか?それはウシオ電機次第?

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UVC関連の市場規模は2026年までに3400億円規模に成長の見込み

紫外線C波(UVCランプ)のカビやウィルス、細菌への殺菌効力は100年以上前から認識され、特に医療や食品加工などの分野で活用されてきました。身近なところでは、UVCを使った浄水器など、すでに家庭内で活用されているケースもあります。アメリカの大手ネットワークの一つCNBCによると、全世界におけるUVC関連の市場規模は、2018年で約1100億円でしたが、2026年までには約3400億円規模にまで成長すると言われています。現在のコロナ禍において、UVCランプを使った殺菌機材の需要は高まっており、すでに多くの場面で使われています。例えば、中国ではバスを丸々殺菌するため、UVCランプのトンネルを通過させたり、お掃除ロボットのように病院の室内を自走し殺菌する機材は開発され現場で活用されているそうです。

UVCランプは人体に有害な影響を与える危険も

紫外線にはA波、B波、C波とあり、A波、B波はオゾン層を通過して地表に届きますが、殺菌効果はC波に比べると弱く、それゆえに人間は地表で生活ができます。C波は殺菌効果は高いものの、その効果ゆえに人体に害を与えるものでした。一方で消毒液などと違い紫外線C波を使ったUVCライトは化学薬品を使用しないため、その意味での人体への影響を心配する必要がないと言われています。また消毒液による拭き掃除や散布に比べると除染にかかる時間が短くて済む、室内くまなく届く、あるいは消毒液を使用できない機材などにも使用できる、などのメリットもあります。しかし、従来の紫外線C波(UVC)は皮膚がんや白内障をもたらすなど、人体への有害性も高いため、人体に直接照射することができず、人が集まっている場所で、そのまま使用することはできず、コロナウィルスの拡散を防止する手立てとして使用するには不十分でした。しかし、今、UVC関連の新しい技術の研究・開発でコロナ拡散を防止する強力な武器として、期待が高まっています。

人体に影響を与えない遠紫外線C波を使ったウィルス殺菌効果への期待

それが「遠紫外線C波(Far UVC Light)」と呼ばれる222ナノメートルの波長を持つ紫外線です。この遠紫外線C波の特徴は、皮膚表面のウィルスなどを殺菌する効果はありますが、波長が短いため皮膚下の細胞まで届かず人体に害を及ぼさないと考えられています。コロンビア大学放射線研究センターでは、2013年、薬剤耐性菌に対する遠紫外線C波の有効性の研究を開始、最近の実験により、表面に付着した新型コロナウィルスが遠紫外線C波により数分で死滅するとの実験結果を得ています。またネズミを使った動物実験では、1年間、遠紫外線C波のもとで飼育し、数週間ごとに皮膚と目の検査を行っているが問題は発生していないとしています。また咳やくしゃみを想定した空気中に漂うコロナウィルスへの効果を確認する実験も行うとしています。アメリカ食品医薬品局環境保護長の承認を得るにはまだ時間がかかるものの、遠紫外線C波を派生させる紫外線ランプは、近い将来、空港や駅、病院、スーパー、レストラン、飛行機、バスなどで恒久的な設備として使用されることで、ウィルスの拡散を防止に役立つ可能性があるとされています。コロンビア大学のブレナー所長は、フランスのAFP通信の取材に対して「この遠紫外線C波の研究プロジェクトをもう1年か2年早く始めていたら、新型コロナウィルス感染症(COVID−19)の危機を回避できたかもしれない。」「完全に(防げた)ということではないが、おそらくパンデミックは回避できただろう」と話しています。*1

ウシオ電機が2021年の遠紫外線C波技術の製品化を目指すとの報道も

最後に、ニューズウィーク日本版によると「日本のウシオ電機は、2015年からコロンビア大学と狭帯域スペクトル紫外線技術の独占ライセンス契約および、研究委託契約を締結。2021年に製品化を目指している。」と報道しています。またウシオ電機によると「(遠紫外線C波を使った殺菌の)技術は米国コロンビア大学(所在地:米国ニューヨーク市)にて2012年に特許化され、ウシオは全世界におkる独占実施権を有しております」とのことです。*2

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注)新型コロナウィルス感染症については、必ず厚生労働省や政府・公的機関の公式な情報をご確認ください。   


How Ultraviolet Light Could Help Stop The Spread Of Coronavirus