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アメリカ企業の多くが採用するサマー・フライデーとは?

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サマーフライデーとは金曜が公休となる制度

サマーフライデーとは7月と8月の2ヶ月間、金曜を(有給で)休暇とする制度です。長いところでは、5月の最終月曜に設定されているメモリアル・デー(戦没者記念日)の祝日から9月の最初の月曜に設定されるレイバーデー(勤労者の日)までの3ヶ月とする企業もあるようです。つまり、サマーフライデー期間、働くのは週4日間(月〜木)で、金曜〜日曜の3日間はお休みということになります。(金曜を半休とし4.5日労働とする企業など、とり方にバラエティもあるようです。)

この制度、

  • 夏季の休暇を取りやすくする(別途で4日間の有給を取ると、最大で10日間休めることになります。金土日+4日間の有給(月〜木)+金土日=10日間ですね。)
  • 夏の暑い時期の労働時間を短縮することで、従業員の労働意欲向上を計り、生産性を上げる
  • 福利厚生条件の1つとして、従業員の離職率を下げる
  • 年間の労働スケジュールにメリハリをつける
  • 従業員の「ワーク・ライフ・バランス」の向上と精神衛生に寄与する

などの効果が期待されます。また

  • 6月から9月はクライアント含め夏季休暇を取る人が多くなるので、他の時期よりも仕事の進展速度が遅くなる(本当に急にパタッ連絡が来なくなります)

といったアメリカの状況も、この時期に休みを取りやすくしている理由とも言えます。

週4日勤務になると、1週間がめちゃ早く感じる

私の職場でも、サマーフライデー制度が採用されています。サマーフライデーを経験されると分かると思いますが、仕事は月ー木の4日間となるので、1週間が非常に早くなります。せっかくサマーフライデーの取得が許されているのですから、できれば金曜は仕事をしたくない、となると、月ー木で効率を上げて作業を終わらせようとします。サマーフライデーとは、金曜を公休とできる制度であって、取りたくなければ取らなくても構いません。逆に金曜も働かなくてはならない理由ができてしまえば、サマーフライデー期間であっても仕事をすることになります。時々、サマーフライデーのない会社の方から金曜のミーティングを打診されることもありますが、当然、なんだかんだと理由を付けて金曜のミーティングは避けるようになります。そのぐらいの割り切りがないと、金曜は休めませんし、作業効率も上がらないかもです。別に、「サマーフライデーで金曜は休みです」と話しても特に問題はありませんが。

サマーフライデーのネガティブ要素とは?

一方で、人間というのは一度、自分にとって好ましい状態を覚えてしまうと、そちらに気持ちも体も慣れてしまうので、サマーフライデーが取れなかったりすると不満に感じますし、組織の代表が代わり、「サマーフライデー制度を継続するかどうか検討する」なんて情報が流れると、一気に従業員の士気が下がります。またサマーフライデーを取るために、平日に残業が増えるようですと本末転倒になってしまいます。また、「サマーフライデーは一律で金曜が休みなる制度で、個々の従業員の事情や職場環境に合わせてカスタマイズされた制度ではない。もっと個々の事情に合わせたフレキシブルな働き方・福利厚生が検討されるべき」との、より進歩的な意見もあります。どちらにせよ、有給すら取りにくい日本のオフィスの状況から見ると、恵まれていると言えるのかもしれません。

有給は労働者の権利

本当は「恵まれている」との表現は正しくないですね。会社や上司は、従業員や部下がきちんと有給を取れているか確認し、取れていない状況があるなら、「なぜ取れないのか」「取りやすくするにはどうすべきか」を考えるのも、彼らの仕事の1つです。有給は「会社から与えられたもの」ではなく、「労働者が得た権利」ですから、よほど事業に影響がない限り「権利の行使」を阻害することはできません。もちろん会社や上司は、有給の日程について、従業員と相談することは認められていますし、有給の理由を聞くことも違法ではありませんが、従業員は「有給を取る理由」を話す必要、義務は全くありません。上司がしつこく有給の理由を聞く行為は、むしろパワハラと認定される可能性もあります。ただ原則はそれと理解する必要はありますが、その上で、職場ではチームワークも重要ですし、繁盛期もそれぞれで違うので、実際の運用には、相互の協力と理解が必要ですね。

 コロナの夏となった今年こそサマーフライデーは必要

アメリカでは、サマーフライデーを取得する企業は2018年では43%でしたが、2019年には55%に増加しているとのリサーチもあります。残念ながら、2020年の夏はコロナの夏になってしまいましたが、この55%という数字がどうなったのか気になります。ストレスや不安が大きくなっている今こそ、夏季休暇でリフレッシュできるといいですねえ。