わんころけっとのアメリカに暮らしてみたものの

海外で暮らし、劇場で働き、社会で学び、子育てして、ゴルフする

海外で働くのに必要なスキル、語学力について考える。

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海外で働くために必要な語学力、逆の立場で考えると?

例えば、あなたの職場や現場に海外から働きたいという人が来た場合、どうでしょうか?しかも、その人の言語があたなにとって全く馴染みのない言語だとしたら。流暢ではなくても、意思の疎通ができる程度の日本語力がないと現場で働かせることは難しいのではないでしょうか。ただ、その人の専門によって”疎通に必要な語学力”は多少違いがあるかもしれません。

劇場の音響スタッフが現場で使う専門用語は、日本と海外でかなり共通だったりします。また使っている音響機器のブランドも双方にとって馴染みのものが多く、機材の種類や操作方法に精通していて高い技術力を持っていれば、あとは現場経験を通して専門的な言い回しを学ぶことで、語学力の不足をまかなえるかもしれません。私も、現場で技術的なことや作業内容について話すのは構わないのですが、パーティーやレセプションで世間話をするのは、かなり気後れします。通訳のプロでも、医療専門、経済専門と、それぞれに専門分野があるように、従事したい職業によって、求められるボキャブラリーは違っていて当然です。

逆に制作や公報となると、語学力を含めた高いコミュニケーション能力とライティングスキルが求められる上に、業界や社会制度への知識も必要で、なにもわざわざ現地語が十分でない外国人を雇う理由がない、ということになります。ただしその場合でも、高い専門知識や他人にない経験やコネクションがあれば、多少の語学力は問題なくなるかもしれません。

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「英語はツール、それよりも何を伝えたいかが重要」は本当か?

 私も、先輩留学生から「英語はあまりできなくても、やりたいこと、知りたいことがしっかりあれば大丈夫」と言われて渡米しました。しかし、それもやはり程度の問題と言えます。「やりたいこと、知りたいこと」がないことには、渡航の目的が明確になりませんが、それが「相手に全く理解されない」、こちらも「相手の言ってることが分からない」、では目的を達成するのは困難と言えます。

また、これは私自身の経験から言えることですが、語学は単純に「住めば流暢に話せるようになる」というものではありませんので、渡航前にそれなりの語学力を身に着けておくことは重要ですし、語学力の習得には「質x量」が重要で、ある程度まとまった時間を語学の勉強にあてないと習得は難しいです・・・と、もしタイムマシーンが発明されれば、渡米前の自分に伝えたいです。せめて今ぐらいの語学力で渡米経験をスタートできれいれば、もう少し違った未来があったかも・・・と悔やむことも多いです。観光で使う英語は非常に簡単です。観光で困らない程度の英語力だけでは、海外で学ぶ、働くは非常に困難と言えます。スタート地点が低いと、当然、同じ結果を得るまでに何倍もの時間を有します。とにかく渡航前までに、可能な限り語学力を磨くことをお勧めします。

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海外で働くには、どの程度の語学力が必要か?

アメリカの劇場で合法的に就労するまでの一般的な手順を以前書きました。

koryunosusume.com

 そこで、 一般的な手順の第一段階は、希望する職種と関連するアメリカの大学か大学院を卒業することだと書きましたが、この第一段階を達成できた時点であなたの英語力は相当な段階にあり、もちろん現場での慣れは必要ですが、基本的な英語力に問題はありません。

一方で、先述したことと矛盾しているかもしれませんが、やはり語学はコミュニケーションのツールに過ぎませんので、他の能力が同じであれば、ビザ申請を手伝ってまで、外国人を雇う必要はありません。また近年、H-1のような一般企業で働く従業員をサポートするためのビザ申請を企業は避ける傾向にあります。むしろ、語学力はそこそこでも、意思疎通に大きな問題なければ、その人の”人となり”や”個人的な能力”が重要となります。特に専門分野での学歴や職歴は非常に重要です。アメリカは、基本的に(それぞれのレベルでの)即戦力を求めていますので、個々人の経験値や能力、知識を高めておくことが重要です。逆にエントリー・レベルの場合は、人柄や働きぶりが専門性や語学力よりも重視される場合も多々あります。

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つまり海外で働く上で重要なことは

1,現地の言葉で意思疎通が行える

2,現地のスタッフと比べても、高い専門性や技術力、事務能力を持つ

3,現地の人たちが入手したいと考える技術や知識、専門性を提供できる

4,現地の人たちに受け入れられる”人となり”や”働き方”ができる

5,専門性をアピールできる学歴と職歴を持つ

 ということではないかと思います。あと2つ、上述しませんでしたが、大事だと思っているスキルがあります。それは

6,自分の能力と社会のニーズを客観的に評価できる

7,自分の可能性を決めつけず、興味の幅を広く持つ

です。雇用も基本的には需要と供給のバランスで成り立っていると思っていますので、自分自身の能力や専門性の市場価値を意識するのは重要なことだと思います。また、これという信じた道があるなら別ですが、門戸は広く構えておいたほうが、チャンスは広がると思います。