今回もアメリカの職場で行われるセクハラ講習から事例を紹介します。
今回もアメリカにおけるセクハラ講習で、よく見かける事例と回答例を紹介します。今回も、頭で分かっていることと、感情で思うことにズレが生じたりするかもしれませんね。
「いや、そうなのかもしれないけど・・・」
「それだと、もう何も話せないじゃないですか」
といった感想を持つかもしれませんね。事専門家でも弁護士でもない私は事例を紹介することしかできませんが、セクハラを考える、ちょっとした手がかりとなれば幸いです。友達と以下の事例について、どう感じるか意見を交換してみると、その人の価値観が分かったりして面白いかもしれません。
本人は軽口のつもりでもセクハラとなることも。
ケース:花子さんは事務スタッフとして新しい職場に配属になりました。花子さんのグループの係長である太郎さんはフレンドリーで、花子さんが新しいチームに馴染むのに助かっています。配属から数日たった頃、オフィスに誰もいない時に、太郎さんが花子さんのデスクにやってきて、雑談を始めました。太郎さんは花子さんに、彼女がチームに加わってくれて良かったと言ったあと、「目の保養になるよ」と言い、そして彼女のスタイルを確認するかのように、上から下まで舐め回すように見ました。
花子さんは、自分や職場の女性たちが外見を比べられ、見た目で評価されていることに気分を害し、侮辱されたと感じています。
質問1:太郎さんは、花子さんの外見を褒めこそすれ、魅力がないと批判した訳ではないので、ハラスメントには当たらない、という考えは正しいと言えるか?
回答1:言えません。太郎さんは従業員の身体的特徴や外見について言及しました。太郎さんの言及が花子さんへの「褒め言葉」であったとしても同じです。花子さんにとって、この議論は非常に不愉快なものです。
質問2:太郎さんは、今後、こうした発言をしないよう指導されるべきですが、それほど深刻な問題と捉える必要はない、と言えるか?
回答2:いいえ、女性従業員に対する太郎さんのコメントは深刻な問題であり、職場での女性蔑視を含んだ内容と言えます。太郎さんは、性別または保護特性 (protected characteristics)に基づいて従業員を侮辱する発言や行為を行ってはならず、適切な行動を取ることを求められます。
花子さんは、女性蔑視の考えを持つ誰かのために働き続ける必要はなく、他の従業員も、そのような上司のために働く必要はありません。花子さんは太郎さんの上司か人事部に問題を申告し、会社は是正措置を取る必要があります。
今回も厳しい結果となりました。本人は軽口のつもりでも、アメリカの職場で他人の外見について言及するのは適切とは言えず、避けるべき話題かもしれませんね。これはなにも男性から女性に限ったことではなく、女性から男性についても同じです。セクハラは「男性から女性」に限定されるものではなく「女性から男性」あるいは「同性間」であっても当てはまる場合があると認識しておかないとですね。勉強になります!肝に銘じます!
アメリカの職場におけるセクハラ講習でよく見る事例を紹介する過去ブログは以下からご覧いただけます。
注)同ブログの著者は人事専門家でも専門分野の弁護士でもありません。上述したケースは、あくまで素材として広く出回ってる事例をもとに記述しています。個々のセクハラ行為や迷惑行為に関しましては、直接、個々の責任において、専門の弁護士にご相談ください。