はてなブログ今週のお題「怖い話」チャンレンジは『たこ焼き』です。
まだ時代が昭和と呼ばれていた頃のこと。
ある集落の外れに老人が独りで住んでいました。
外は切り裂くような冷たい風が吹き
窓がカタカタと音を立てて震えているような寒い冬の夜こと。
老人は、ふと思い立ち、寒風の中、
村まで「たこ焼き」を買いに行くことに。
見上げると、夜空には、たこ焼きのようなまん丸なお月さま。
『早く買って帰って「たこ焼き」を食べて暖まりたいもんじゃ』
長年の農作業で痛めた足を引きずるように家路を急ぐ。
家までたどり着いた老人は、こたつの上に「たこ焼き」を置きます。
そして、まだ温かい「たこ焼き」のフタを開けたとき、
異変に気づきます。
『んっ!?』
『なんじゃ、こりゃ?いったい、どうしたことじゃ?』
なんと、6個入で買ったはずの「たこ焼き」が5個しか入っていません。
鋭利に鈍く光る千枚通しで串刺しにされ、
容器に入れられた「たこ焼き」たち。
たしかに2個づつ、3串、6個入れられるのを見たはず。
『いったい、なにが起こったというんじゃ?』
どこかで落としたのか・・・。
しかし、フタは「たこ焼き」を押さえるように、ピッタリと閉じられていました。
と、その時、老人はあることに気がつき、驚愕します。
『おゝ・・・なんということじゃ・・・』
買ってきた「たこ焼き」のうちの1個が・・・な、な、なんと・・・
フタにくっついていました。
『なんじゃ、そういうことか・・・』
安心した老人は笑みを浮かべながら、そのフタにくっついた「たこ焼き」に楊枝を突き刺すと
歯が数本しか残っていない口に放り込みました。
その時!!さらなる異変が老人を襲いました・・・
『うぐぐぅぅ・・・くっ・・・苦しいぃ・・・』
フタに張り付いていた「たこ焼き」は、今度は老人の喉にはりつきました!
『ぐぅあああ・・・』
老人は呼吸ができず、もがき苦しみます・・・
しかし、「たこ焼き」は、はりついたまま離れません。
苦闘は数分も続いたでしょうか。
老人のあがきも虚しく、老人はその一生を「たこ焼き」によって終えることになりました。
しかし、不幸はそれだけでは済みませんでした。
この不幸な一人暮らしの老人の死は、冬の厳しい気候のせいもあり、誰にも発見されず
春になるまで、誰も知ることのない悲劇となりました。
そう言えば、村外れの老人の姿が見ない、と村人が訝りはじめたころ
身寄りのない老人は、腐乱した状態で役場の職員たちによって発見されました。
身寄りのない老人でしたが、村人であったことに変わりはなく
村役場で老人の葬式を出すことにしました。
しかし尋ねる人もない、寂しい葬式でした。
誰もいない葬儀場、老人を発見した村役場の職員が、
最後のお別れのため棺のフタを開けたときでした。
職員は、あまりの光景に息を飲みます!
『はひぃぃ・・・』
棺桶に入っているはずの老人の遺体がありません!
『ぐぅぅ・・・遺体がない・・・』
驚愕する職員!
なんと遺体は・・・・・
棺桶のフタにくっついていたそうな・・・。
ギャーーーーー!!!!