わんころけっとのアメリカに暮らしてみたものの

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全米No1ヒットの児童書『ドッグマン』は、大人の道徳観や常識を爆破する面白さ!

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『ドッグマン』は、悪の猫ピーティーの策略にはまり、爆弾で大怪我をおった、屈強だけど頭は空っぽの警官と、体は弱いけど頭のいい警察犬の、残された(警察犬の)頭と(警官の)体を合体させて誕生した最強のスーパー・ヒーロー 「ドッグマン」が、悪さばかりしながらも、どこか憎めない宿敵・猫のピーティーが巻き起こす、おバカな事件を、ひらめきとユーモアで解決していく痛快な物語。

全米で累計2,600万部を売上げた人気の児童書

本書『ドッグマン』は全米でシリーズ累計2,600万部を売上げ、最新刊の第8巻では初版で500万部が発売され、現在では35の言語に翻訳され発売されているほどの大ヒット児童書で、ニューヨーク・タイムズウォール・ストリート・ジャーナル、USTodayなどのメジャー紙における児童書ランキンで第1位にも選ばれています。*1


Dog Man trailer

作者はディスクレシアと診断されたかつての自分と、自分のような疎外感を学校で持つ子どもたちに向けて著作を描いている

『ドッグマン』は、ピルキーの別書『キャプテン・アンダーパンツ』の登場人物でもある2人の小学生、ジョージとハロルド(ピルキーの幼少時がモチーフとも言われています)が、「小学4年生のときに描いたコミック」、という体裁をとっていますが、出版元であるスカラスティック社はこのことに触れ、「『ドッグマン』を1冊ずつ読み進むにつれ、読者はコミックを通じて、ナレーターとして登場するジョージとハロルドの成長と発展を見ることができます。シリーズが進むにつれて、彼らの作画や文法、Spelling (正しい綴り)が向上します。このシリーズでは、共感、思いやり、向上心、正しい行動の重要性など、普遍的なテーマや前向きなメッセージについても探求しています。」と解説しています。

作者のピルキーは、小学2年生のときに ディスクレシア(知的には問題ないものの読み書きの能力に著しい困難を持つ症状*2)と診断されました。当時のピルキーは学習態度と行動に問題があるとされ、しばしば教師によって廊下に立たされる経験をしているそうです。しかし、その廊下でピルキーは後に”キャプテン・アンダーパンツ”や”ドッグマン”となるスーパーヒーローのコミックを誕生さたとスカラスティック社は伝えています。

ピルキーは、「私はかつての自分のような子供たち〜学校で上手くやりたいと思っていたが、読書に苦労した〜のために『ドッグマン』を書きました。(小学生時代の)私はしばしば不釣り合いで自分の居場所がないように感じたことを覚えています。自分を信じることが困難だったときに私を信じてくれた両親に感謝しています。 彼らのサポートと励ましのおかげで、私は作家、そしてアーティストになる道を歩み始めることができました。(著作のプロモーション・ツアーで)読者に会うことは、最もやりがいがあり、自分自身の謙虚さを取り戻せる経験でしたが、それはまた、私が本を書き描き続けるための大きな刺激となっています。このような作者の体験や考えは、彼の作品内容にも大きく反映しており、彼の人となりや経歴も含めて、全米で愛されている理由なのでしょう。


Dav Pilkey’s Dog Man “Do Good” Tour | Official Video

奔放なハチャメチャさと、常識を爆破するような発想、そしてどこまでも愛くるしいキャラクターたち。

推奨年齢は6歳以上となっていますが、アメリカン・コミック風の読みやすさと、内容の自由奔放なハチャメチャさ、大人の道徳観や常識を爆破するような発想は、小さな子どもから大人まで楽しめる内容で、うちの子供(8歳)も大好きで、全8巻中、5巻を持っています。クラスメートも、ほぼ全員が愛読者となっている本書には、様々な楽しい仕掛けが施されています。フリップ・ページ(ページをパラパラめくると動画のような効果がある)もその1つですが、フリップ・ページに熱中しすぎた子どもたちは本をボロボロにしてしまう、ということをよく見かけますが、その人気ぶりも当然のことかもしれませんね。

 


Sneak Peek of Dog Man: Lord of the Fleas by Dav Pilkey | Episode 10

 

我が家の『ドッグマン』シリーズとキャラクター・ドッグマン

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写真:©わんころけっと

記事引用元:カラスティック社のプレスリリース(2018年12月11日)

Scholastic Announces 5MM Copy 1st Printing for Dog Man: Brawl of the Wild, Newest Book in Dav Pilkey's Int'l Bestselling Series | Scholastic Media Room

記事引用元:スカラスティック社のプレスリリース(2019年12月10日)

Scholastic Announces Title of New Book in the Global Bestselling Dog Man Series by Award-Winning Author & Illustrator Dav Pilkey | Scholastic Media Room

*1:全米各紙の評価:パブリッシャー・ウィークリー紙は「(あらゆる年齢の)読者が最初から最後まで笑いころげることだろう。」との書評を掲載し、ブックリスト紙は「ピルキーは再び、何百万人もの読者の熱くなった子供時代の魂に、真っ直ぐに喜びの矢を放ちました・・・全く何者にも規制されない喜びという矢を。」と語り、ワシントン・ポスト紙はデイブ・ピルキーを「ロックスター」と呼び、サンフランシスコ・クロニクル紙は「ドッグマン」を「陽気で賢く、あらゆる年齢の子供にぴったり」と賞賛しました。

*2:ディスレクシアって? | 認定NPO法人 EDGE(エッジ)